歯科口腔外科
口腔外科では、親知らずの抜歯や顎関節症の治療、口内炎などの粘膜疾患、歯の破折・裂傷などの外傷など、外科的な処置を必要とするさまざまなお口のトラブルに対応しています。
特に抜歯や外傷の治療では、顎の骨や神経への影響を考慮しながら、慎重に処置を進める必要があります。
また、口腔内に現れるがんや前がん病変のような異常を早期に発見し、必要に応じて適切な対応を行うことも口腔外科の役割のひとつです。
当院では、症状や状態に応じて適切な処置をご提案いたします。お口の中のトラブルや気になる症状がございましたら、まずはお気軽にご相談ください。
親知らず
親知らずは、10代後半〜20代前半にかけて、上下左右の最も奥(第8歯)に生えてくる永久歯です。
人によって本数や生え方はさまざまで、4本すべて生える方もいれば、数本しか生えなかったり、まったく生えてこないケースもあります。
親知らずは、必ず抜歯しなければならないわけではありません。ただし、痛みや腫れがある場合や、むし歯・歯周病の原因になっていたり、周囲の歯や歯並びに悪影響を及ぼしている場合は、早めの抜歯が必要です。
自覚症状がなくても、親知らずが生えてきたら一度歯科医院で状態をチェックすることをおすすめします。
歯科用CTによる精密診断と安心の抜歯処置
当院では、親知らずの抜歯において歯科用CTによる立体的な画像診断を行っています。
CT画像により、親知らずの正確な位置や生え方、周囲の神経・血管との関係を詳細に把握することが可能です。これにより、余分な切開や神経損傷のリスクを最小限に抑えた、安全で負担の少ない治療が可能になります。
斜めに生えていたり、骨の中に完全に埋まっていたりする難症例にも対応していますので、不安がある方も安心してご相談ください。
親知らずを放っておくリスク
① 親知らずのむし歯や歯周病、智歯周囲炎になりやすい
親知らずは奥にあるため歯ブラシが届きにくく、汚れが溜まりやすい場所です。
その結果、むし歯や歯周病、智歯周囲炎(親知らずの周囲が腫れる炎症)が起こりやすくなります。炎症が広がると、顎の骨や他の歯にも影響を与えるため、痛みがある場合は早めの抜歯が推奨されます。
②周囲の歯に悪影響を及ぼす
親知らずのトラブルが、すぐ前の第二大臼歯に悪影響を及ぼすことがあります。
むし歯や歯周病が広がるだけでなく、圧力によって歯根が溶ける「吸収現象」が起きると、健康な歯まで失うリスクがあります。
大切な奥歯を守るためにも、周囲の歯への影響が懸念される場合は抜歯を検討しましょう。
抜歯を検討したほうがよい親知らずの例
次のような親知らずは、抜歯をおすすめします。
①隣の歯を圧迫している
顎のスペースが足りず、親知らずが斜めや横向きに生えていると、隣の歯を圧迫して歯並びを乱したり、歯根を傷めてしまうことがあります。
②歯肉の下に埋もれている
歯ぐきの中に一部または完全に埋まっている親知らずは、汚れが溜まりやすく炎症や感染のリスクが高くなります。自覚症状がなくても、歯ぐきの中でトラブルを起こしている可能性があるため注意が必要です。
③かみ合わせに悪影響を及ぼしている
親知らずの位置や向きによってかみ合わせがずれると、顎関節や全身にまで影響を与えることがあります。このような場合は、かみ合わせの安定のために抜歯が有効です。
気になる症状があればご相談ください
親知らずは放置してもすぐに問題が起きるとは限りませんが、トラブルが起きた際の影響が大きいため、事前の診断と早めの判断が大切です。
「親知らずが生えてきたかも」「痛みはないけど気になる」など、どんな些細なことでも構いませんので、気になることがあればお気軽にご相談ください。
顎関節症
顎関節症は、頭蓋骨と下顎をつなぐ関節に関わるトラブルで、口の開閉や咀嚼の動作に影響を及ぼします。関節やその周辺の筋肉に痛みや違和感を覚えたり、口を動かす際にカクカクと音がしたり、大きく開けられないといった症状がみられる場合は、顎関節症の可能性があります。放置してしまうと、肩や首のこり、頭痛、めまいといった全身の不調につながることもあるため、早めの対応が大切です。
原因はストレスや生活習慣、かみ合わせの乱れ、歯ぎしり・食いしばりなどが関係していることが多く、当院では患者さまそれぞれの症状や原因に合わせた治療を行っています。
気になる症状がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。
顎関節症の症状
- 口を開け閉めするとカクカクやゴリゴリと音が鳴る
- 口を大きく開けることができなくなった、スムーズに開閉できない
- 顎関節やその周辺に痛みや違和感がある
- 硬いものを噛むと痛みが増す、痛みで噛めない
- かみ合わせが急に変わった、違和感がある
- 慢性的な肩こりや頭痛がある
治療法
スプリント療法(マウスピース)
スプリント療法は、顎関節にかかる負担を軽減し、筋肉の緊張を緩めることを目的とした治療法です。就寝時に専用のスプリント(マウスピース)を装着することで、咀嚼筋への過剰な負荷をやわらげ、顎関節症の症状を和らげます。スプリントは歯ぎしりや食いしばり対策のナイトガードとは異なり、かみ合わせの安定性を重視して設計されています。当院では、患者さま一人ひとりの歯並びに合わせたオーダーメイドのスプリントを製作し、装着後も丁寧に調整を行っています。
かみ合わせ治療
かみ合わせの乱れが顎関節に影響を与えている場合は、原因となる歯の状態を整える治療を行います。
むし歯による欠損がある場合は治療を行い、詰め物や被せ物が合っていない場合は再度作り直して適合を改善します。かみ合わせはわずかなズレでも違和感や不調につながるため、0.1ミリ単位で微調整を加えていきます。バランスの取れたかみ合わせを目指すことで、顎関節症の改善が期待できます。
外傷
スポーツ中の転倒や接触、交通事故などによって歯が折れたり、唇や歯ぐきが切れるなどの外傷を負った場合は、できるだけ早く歯科医院を受診してください。口腔内の傷をそのままにしておくと、細菌感染を引き起こすリスクがあります。
また、歯に強い衝撃が加わった際は、見た目に異常がなくても歯の神経や顎の骨にダメージを受けている可能性があります。当院では必要に応じてレントゲン検査などを行い、目に見えない損傷も丁寧に確認します。
歯が大きく欠けてしまった場合や、完全に抜けてしまった場合でも、状態によっては元に戻せるケースもあります。歯を乾燥させないよう、専用の保存液や牛乳に浸けた状態でお持ちいただくと、より良い状態で処置を行うことが可能です。迅速な対応が予後に大きく関わりますので、迷わずご相談ください。